短い話

□Star Festival
1ページ/1ページ



今日の合同任務は、七夕のために笹の飾り付けをするという、言わばお祭りの準備だ。

一番大きな笹を里の中心部に飾り、自分自分でたんざくを飾るようになっている。



「サスケはなんて書いたんだってば?」

「……なんでもいいだろ」

「気になるってばよっ」

「……    」


赤い顔をしてアイツが言った願いは、なんだっただろう。





「七夕かぁ」


カレンダーの日付は7月7日。アイツがいない2回目の夏。

久々に集まったメンバーでたんざくを書きながら、昔の話で盛り上がる。
ただ、アイツの名前だけは出てこない。

「ナルトはなんて書くんだ?」

隣で書いていたキバが覗き込んでくる。

「もちろん、火影になれますようにって」

でかでかと書いたその紙を見せてやると、キバは笑った。

「お前らしいなぁ」




『…お前らしいな』



「どうかしたのか?」

突然立ち上がったナルトにキバは驚いた顔をしたけれど、そんなことは気にならなかった。

「ゴメンってば。俺帰る」

言い置いて、その場から駆け出した。

「おっオイ」

背中に掛った声は、聞こえていない。



引き出しにしまったたんざく。
あの時、アイツが渡してくれた、託してくれた願い。

やっと思い出した。


『また、2人で七夕を』


ずっと忘れていた約束。


ただ、がむしゃらに走った。場所は考えなくても、体が覚えてる。



「……遅いぞ。ウスラトンカチ」

あの時と同じように、アイツは笑って待っててくれた。



「さすけぇ」


俺は腕を広げたサスケの胸に飛込んだ。




End
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ