短い話

□君の隣で
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「雪降らないってばよ」

 物干し竿に吊してある、てるてる坊主を見ながら、金色の髪をした青年が呟いた。


 只今、某有名大学の2回生である。しかし、年のわりに幼い言動と、両親からの遺伝のおかげ?で実年齢よりも若く見られることが多い。

猫っ毛でふわふわの金色の髪は、肩に掛らない長さで整えられ、愛嬌のある顔には、アーモンド型の碧い瞳が埋め込まれている。
人懐っこい性格で友人も多いが、実は人見知りが激しく遊びに行ったりすることは少ない。

冬休みになって間もないが、このままでは、計画もなく昨年と同じように家でゴロゴロ過ごしてしまいそうだ。
ただ、昨年と違うところは、恋人が一緒にいること。

恋人は、うちはサスケといい、違う学部の2回生。
ナルトとは、対照的な漆黒の髪に同じ色の瞳を持った彼は、学部で1、2を争うイケメンとして有名になっている。
高校から一緒にいるが、その頃からモテていたし、今なお、それは変わらない。

 大学入学と同時に、ルームシェアをし始め、一緒に暮らしている中で恋が芽生えたらしく、同居から同棲に変わっていた。



「このウスラトンカチ。てるてる坊主は、晴れを祈るために使うもんだろ。逆さにしても雪は降らねぇよ」

手に持った2つのカップの1つを机に置いて、隣に座ってくる。

「ありがと、サスケっ。でもさっ、もしかしたら降るかもしんねぇじゃん。冬なんだし」

ふぅふぅと息を吹きかけ、カップの中身を冷ましつつ、暖かいココアを飲む。
俺好みに作ってくれてたココアは、少し甘めのミルクたっぷりだ。


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