短い話

□初夏の大地
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「おはようってば」
 いつものように登校したナルトは友人にあいさつをする。
「ん〜。はよ」
「相変わらず、退屈そうだってば」
 机の上に寝そべってあくびをしているシカマルにナルトが呟く。
「あぁ。スゲェつまんねぇ」
「そんなにつまらないなら、部活とかすればいいってばよ」
「そんなの更にメンドクセーだろ」
「だったら、文句言わずに我慢しろってばよ」
「…そんなことより、サスケは?」
「ん?朝練だってば」
「相変わらず、ご苦労なこった」
「サスケは弓道が大好きだから。弓道バカだってば」
 ナルトはこう言っているが、友人達にいわせれば、サスケは間違いなくナルトバカだ。


「にしても、ナルトも鈍いわよね」
 屋上で昼食を摂りながら、サクラが呆れたように呟いた。
「なんだってば?」
「なんでもないわよ。それよりサスケ君は?」
「サスケなら先生に呼ばれてるんだってば」
「ふ〜ん。ホンットに不思議よねぇ〜。あれだけサスケ君が牽制してるのに、されてる本人が全く気付かないなんて…」
「まぁ、そこがナルトの良いところでもあるんじゃねぇの」
「何の話だってば?」
「んっ。どうして、そこまで鈍いのかって話」
「誰が?」
「「はぁ〜」」
「なんで、そんな溜め息つくんだってば!?」
「ここまでくれば、あっぱれとしか言いようがないわね」
「だから、何が?」
「ナルト」
「あっ、サスケ」
 サスケを見つけると、すぐさまナルトは駆け寄った。真っ先に自分の所に駆け寄ってくるナルトにサスケの表情が柔らかくなる。
「なんの用だった?」
「テストの話だ」
「テストぉ?」
「あぁ。それより、お前は何を楽しそうに話してたんだ?」
 そう言って、サスケはサクラたちに瞳を向ける。ナルトからはただ見ているだけのようにしか見えないのだが、サクラたちからすれば、睨まれているようにしか見えない。
「どっかの誰かさんがとっても鈍いって話」
 その顔に蹴落とされることなく、サクラはサスケに話しかけた。どこかの誰かさんがナルトであることぐらい一目瞭然である。
「確かに鈍いな」
「サスケ君もそう思うでしょ」
「だ〜か〜ら、誰の事だってばよ?」
「はぁ〜。あんたのコトよ」
「…俺!?」
「そうよ。ホントに鈍いわね。だから、危なっかしいのよ」
「危なっかしいってどうゆうことだってば?」
「じゃあ聞くけど、あんた自分がどんな容姿してるかわかってる?」
「どんなって…みんなとそう変わらないってばよ」
「「「……」」」
(ハァ〜。これだから、ナルトは……)
 ここにいる、ナルト以外の人間は皆そう思った。
 ナルトは、クラスの中でも性別に関係なくモテている。(本人は全く気付いていないが)
 というのも、そこら辺にいる女の子とは比べようがないほどの可愛らしい容姿の上、親しみやすい雰囲気のせいで、声を掛けやすく邪な想いを抱いて近づいてくる人間がたくさんいるのだ。
 いままで、何事もなくナルトが過ごしてこれたのもサスケやシカマルたちのおかげである。サスケはナルトから離れることがほとんどなく、例え離れても、サクラやシカマルがナルトの側にいるせいで、なかなか近寄れないのだ。ナルトを狙っている人間からすれば、邪魔以外の何者でもない。
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