お題

□触れられないもどかしさ
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自分が女性恐怖症だっていうこと…

からかわれたり、興味本位に女性が寄ってくるのは確かに困るけど…
一番困るのは好きな子に触れないということだと感じる。





触れられないもどかしさ





「ガイってぇ〜変だよね?」

「え…俺が?…そうかな?」

「うん!変!」



アニスとの会話中、突然今までの話の流れと全く違うことを言われ少し戸惑う。
しかも訳も分からず変だと言われショックも受けた。


自分で言うのもなんだけどメンバーの中では一番まともな人間だと思っている。



世間知らずのルークに人を疑う事を知らないナタリア。
いつも笑みを浮かべて厭味なジェイドに玉の輿を狙っているらしいアニス。



あぁ…ティアは比較的マシな方か?

いや、でもトクナガを可愛いという人物だしなぁ(よく分からない)




こんなメンバーからすれば、俺はまだマシな方だと思うが…



そういやミュウもいたな。

ミュウはミュウで……(略)




やっぱり俺が変だと言われる要素はないと思うが…他の奴らよりは遥かに…





「そんなに…変か?」

「変だね☆」

「(グサリ)…何処が?」

「だって〜♪女性恐怖症なのに、ナタリアのこと好きなんでしょう〜?」

「ちょっ!?アニス、なんでそれを!!」

「へへ〜ん!女の子は鋭いんですぅ〜」




正直驚いた。

今まで女性恐怖症で密かな恋心を抱いていることを知られたことはなかった。

この性質を周りは理解している故、気付こうとさえしないだろう。




相手のナタリアだって…




いやナタリアの場合は自分が女性恐怖症であってもなかろうとも、あの鈍感とも言える彼女なら気付きはしないだろうが…



十分すぎるほど分かっているため、ナタリアの知らないところで溜め息をつくこともしばしばだった。






身体が震えて、彼女に触れられないということにも…



自分の手を見つめ、一つ溜め息をついた。






* * * *






いつの間にか目の前は霧がかかっていた。

幾度も誰の名を呼びかけようとも、何処を走ろうとも周りは霧ばかり…



人影すらなかった。




ここは何処だろうと思い、トボトボと歩いていた時うっすらと影のような物が見えた気がした。

微かに見えた色がなんとなく見覚えのあるような…



金色っぽい色が見えるな…俺の髪よりも鮮やかな…彼女みたいだ。




その影についていくと、段々とその影が人型になり見知った人物になった。




「ナタリア!?」



いや…でも…違うか?




だってこれは幼い時のナタリアだ。




面影はあるけれど、今はもっと大人っぽく強い感じの表情をする。



…………



一頻り考えるとこの状況が掴めてきた。



なんだ、これは俺の夢か…




そういえば宿に戻って一段落した時、眠りについてしまったのだろう。




「幼い頃のナタリアか…懐かしいな」



くりくりとした瞳と他よりも煌びやかな色の金髪は相変わらずで…
ちゃんと髪も手入れをされているみたいだ。

可愛らしいが、女の子といえどこの頃もすでに恐怖症はあったわけであまり近くにはいられなかった。




小さな身体で歩いていくナタリアの後をついていくと、いつの間にかナタリアの隣にはルークがいた…

いや多分この二人はまだ5、6歳頃だろう。
…ということは、ルークじゃなくてアッシュか…




そしてそのルークの近くに突然現れる幼少の自分自身。




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