お題
□この身に代えても
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俺は、もう大切な人を失いたくはないから…
この手で守りたいから
だから彼女に怪我をするくらいなら俺が…
【この身に代えても】
「ガイ…大丈夫ですの?」
つい先ほどの戦闘でナタリアを庇い、負傷したガイ。
ナタリアの譜術により大分回復していた…
もともと酷い傷ではなかったが、自分を庇ったために傷を負わせてしまった。
それがナタリアの心を痛めた。
「平気だよ。君が回復譜術をかけてくれたからね」
「………」
何か言いたそうなナタリアであったが、口を噤み身を翻してティアの元へ歩いて行った。
その様子にを訝しげに見たが、とくに気にしないようにした。
ふぅと溜め息をつくと遠くからルークが近づいてきた。
「よぉ、どうした?ルーク」
「…いや…ナタリア、辛そうだったぜ?」
「まぁ。自分のために他人が怪我をするのが嫌いな子だからな。仕方ないさ…」
「……」
「違うと思う」
「え?」
「なんかよく分からねぇけど…違うと思うぜ?」
何が?とは聞けなかった。
その時のルークの顔が気色ばんでいるように見えたからである。
それからなんとなくナタリアとは会話を交わさなかった。
ナタリアが多少避けていたようにも感じて。
特に話したいと思うこともなかったので(傍にいたいとは少々思ったが)彼女に近づくことはなかった。
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