お題
□この身に代えても
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紙袋いっぱいに詰めた食材や、道具を見てナタリアは買い物をしすぎたと後悔した。
一人で出来るとティアに言い張り、ガイには声を掛けなかったが…
この量を見ると、無理をしてでも着いてきてもらった方が良かったかもしれなかった。
「仕方ありませんわ。私が勝手にしていることですもの」
ガイが自分を庇ってから…どうも話しかけづらかった。
とくに理由はない。
ただ漠然と…近くにいくのは無理だと感じた。
彼には迷惑をかけられない。
自分のせいでガイが怪我をした時、凄く不安になった。
そして自分が不甲斐ないと思った。
いつまでも城の中の王女ではないのだ。
旅の仲間として、自分の身は自分で守らねばならない…
そう自分に言い聞かせた。
重い荷物を持っているということとは別に、宿屋へ戻る足取りは重かった。
宿屋が見え始めた頃、自分の前に人が近づいてくるのが靴音で分かった。
邪魔になってはいけないとぶつからない様に避けた時、一瞬のように荷物が自分の腕から離れていった。
「?」
「どうして言ってくれなかったんだい?ナタリア。荷物なら俺が持つよ」
「いえ。このくらい私一人でできますわ!」
「それにしちゃ、多すぎだろう?」
「そんなことは」
最後まで言い終わる前にガイは先に歩いていってしまい、ナタリアは外を追いかけた。
歩幅が違うために早歩きをしてやっと追いついた。
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