お題
□この身に代えても
3ページ/4ページ
「ごめん、歩くの早かったかな」
「いいえ。気になさらないでください。大丈夫ですわ」
「よかった」
「え?」
「いや、君に避けられてたみたいだったから…不安だったんだ」
「………」
苦笑いを浮かべるガイを見て、ナタリアは自分を責めた。
自分の行動によって彼を不安にさせてしまったことに…
優しい彼のことだ。
自分を心配してくれたのだろうと思った。
「すみません…避けてしまって…貴方が私を庇ってくださった時から、上手く話せませんでしたの」
「あれなら君がきにする必要はないよ」
「でもガイが怪我をした時、どうしようもなく不安に駆られたんです…」
「ナタリア…」
ガイは何も言わず、ナタリアの肩に手を置いた。
見上げるとガイはただ微笑んでいた。
大丈夫だと訴えかけてるかのように…
「ガイ…ありがとうございます」
呟かれた言葉を聞き、強くなろうとガイは改めて誓った。
隣にいるお姫さまが、二度と不安にならないように…
END
.