お題
□「愛してる」と伝えること
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【「愛してる」と伝えること 】
いつから?なんて知らない。
誰だって明確には分からないだろう…
近くにいて、少なからず支えていて…支えられて…
目で追っている自分に気付いて…
でも伝えたりはしなかった。
ナタリアはいつもルーク(アッシュと言うべきか)を見ていたし、自分は多少の恨みがあったし…
葛藤の中でずっと過ごしていた。
「ナタリア…元気だったかい?」
「えぇ。気遣ってくださってありがとうございます」
「はは…幼馴染みだからね…こうマルクトとキムラスカで離れていれば気に掛かるさ」
「そうですか?貴方はいつも私やルークのことを気にしてたと思いますわ」
「そうかな?」
「そうですわ」
顔を見合わせると、同時に笑い出す俺たち。
あぁ…ナタリアは笑い方も笑い声も変わっていない…安心した。
アッシュがいないことで沈んでしまうかと思ったけれど…いや沈んではいるんだろうけれど…
でもその雰囲気を出してなかった。
少しでも気を楽にしてあげれば十分だ、自分には…
この想いを伝えるには、まだ身分が違いすぎる…
一応貴族…ということにはなっているけれど…ある意味、まだ名だけで使用人と似たようなものだ…
まだ無理だ…自分に言い聞かせる。
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