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□prose
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【夢追い人】
夢を、追いました。
あの日、確かに手を伸ばし、追い縋ってでも走り抜こうと決めました。
その道しかないと思っていました。
それを追うのが最善だと思っていました。
捕まえられぬことなどないとあろうはずないと思っていました。
でもそれは夢でした。
あの日の決意はただの強がり。
目指した道は走れぬ程の砂利道。
捕まえたのはただの虚無。
結局私が欲しかったのは、
己が欲した希望ではなく、
取るに足らぬ存在理由だったのです。
希望あらば光り輝き、
夢あらば活気に溢れ、
人が認めてくれる気がしたのです。
気付けば後には何もなく、
残ったのは空虚のみ。
私は何を追っていたのでしょう?
私は何を求めていたのでしょう?
私は何を欲していたのでしょう?
誰も応えてはくれません。
答えは私が総ての夢と一緒に捨ててしまったのですから。