立海

□紙とペンとそれから詐欺師
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放課後いつも私は教室に残っている。それは誰も知らない事で私だけの秘密。

夕暮れの教室とはどうしてこんなにも安心するのだろうか。教室には夕日が差し込み濃い橙色が辺りを染め上げる。

そして私はノートを拡げカリカリと規則正しい音で白い紙を汚していく。


書きなぐった紙に残るのは汚ならしい文字と虚無感。
意味の無い行為だとわかっているが止められない。

私は想いを紙にぶつけているのだ。


「好き好き好き好き好き」

いつしかカリカリという軽い音ではなくガリガリといった音に変わり紙は所々が無残にも破れる始末。

その時ふと人の気配を感じバッと顔をあげた。

「あっ…」

教室の入口に佇んでいたのは同じクラスの仁王雅治。私の想い人。

ゆっくりと近付く彼の銀色の髪の毛は夕日に照らされて赤く染まった。

「何やっとるんじゃ?」

「別に」

「そうか」

カタンと私の隣りの椅子に腰掛ける仕草もどこか魅惑的で椅子に掛ける、それだけの事なのに私の心臓は驚く程速くなった。

この心臓の音が彼に気付かれる前にいっその事止まってしまえばいいのに

それからは彼は何をするわけでもなく私をじっと見ていた。

まずいまずいまずい

気付かれたかもしれない
心を読まれているのかもしれない
なんたって彼は詐欺師なのだから。

そんな彼の横で私はどうする事も出来ない気持ちを書きなぐる為またペンを走らせた。



がりがりがりがりがりがり



(「大好き大好き大好き」)
(のう。それ俺に言っとるじゃろ)
(…だとしたら?)
(めちゃくちゃ嬉しい)
(そ。)


end.

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