底知れぬ悪意と
□そして、鐘音
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目覚めの音に
終わりでは、ないだろう。
遠くから倒れたショルキーを見つめて、何故か強く確信していた。
終わりではない。
そして自分は間違いなく巻き込まれていくだろう。
その時に自分は、何が出来るのか。
多分、何も出来ない。
ショルキーのような強さを、自分は絶対に持てない。
────だから逃げるのか?
まぁ、誰だって自分の身が一番可愛いもんなぁ。
何処からか聞こえた気がする、自分そっくりの声。
現実の音ではないと分かっているから、耳を塞いでも無駄だと分かっている、けど。
「ひ……ぐ……かふっ……」
うずくまり、耳を塞いだ自分の口から漏れた悲鳴は、ちゃんとした音をなしていなかった。
泣きたい、叫びたい。
だけどどちらも出てこない。
吐き出したいのに、そのぐらい苦しいのに、どうして。
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