底知れぬ悪意と

□そして、鐘音
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「おーい、大丈夫ー?」

「おーい、しっかりしろー」



呑気としか思えない、二人の女の子の声。
声がした直後はすぐに頭を上げられなかったが、誰なのかはすぐに理解した。

『遊戯』の始まりを放った、二人の少女。
兎と猫の獣人、ミミとニャミ。



「優勝おめでとーう!!」

「生き残りおめでとーう!!」

「ちょっと予想外だったなー」

「ショルキーさんはともかく、リュータ君が生き残るなんてねー」

「強運だねー」



反射的に首を横に振っていた。

こんな強運ならいらなかった。

ただ逃げて、逃げ回って。
棚ぼたみたいに手に入れた、今。

でも、こんなの違う。



「さーて、最初言ってなかったけど、実は景品あるんだよねー」

「……景品?」

「そ! なぁんでも、一回聞きたい事が聞けるんだよー」



流石に苦痛よりも不快の方が勝り、顔をあげあからさまに歪めた。

40人近い死体の上に立って、見返りは質問一つだけ。
どう考えても割りに合わない。

だがミミニャミは得に疑問にも思っていない風ににこにこと笑っているだけだ。
どうやら何か聞かなければ、彼女達は解放してくれないらしい。

ぱくぱくと無意味に口を開閉して、ようやく出てきた言葉は。



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