底知れぬ悪意と
□そして、鐘音
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そして、鐘音
「う……?」
先ず感じたのは酷く不快な感覚だった。
その原因が全身から流れている寝汗の所為だと気付き、その理由を思い出していく内に顔色が悪くなっていく。
「ゲーム、『遊戯』……悪夢」
夢の中のリアルを思い出し、酷い吐き気に襲われる。
胃が空だったから吐き出す事はなかったが、それでもしばらくは動く事が出来なかった。
一方で頭の方は、寝起きとは思えないほどに動く。
あの兎と猫は『またね』と言った。
つまりまだ、この悪夢は続いていく。
自分は何ができる?
自分に何ができる?
何もできない事を、自分がよく分かっている。
流されるしかできない、普段通りの生活を送るしかできない自分に……悔しくて一滴だけ涙をこぼした。
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