底知れぬ悪意と
□裏切りの人…神兵・初日
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また一緒だね
はぁ、と溜め息をついたところで現実は変わらない。
否、夢だけどさ、と脳内で一人突っ込みをしながら、ロミ夫は途方に暮れた。
再びこんなものに参加する羽目になるとは思ってもいなかった。
否、考えたくなかっただけかもしれない。
一回ではすまされないと思えるような発言は、よくよく思い返せばいくらでもあったのだ。
それを無意識とはいえ無視してしまったのは自分の落ち度だ。
仕方がない。
とにかく、呼ばれてしまったからには、腹をくくるしかない。
座り込んでいた岩から下りて、荷物が入っているリュックサックを担いで、それから武器であるハンドガンを持ち歩き始める。
周囲への警戒はもちろん怠らない。
その内、舞台が以前と違う事に気がついた。
以前の舞台は完全な森だった。
だが今回は森のようで森ではない。
どうやら元々遺跡だったようだ。
遺跡が時を得て、森に飲み込まれた。
そんな世界。
────何か、無駄に凝った世界だな。
呆れ気味にそう思う。
と、同時に、話し声を耳にした。
誰だ、あわよくば殺したい。
そんな物騒な思いで声の聞こえた方に忍び寄ったのだが、確認した瞬間にロミ夫は眉をしかめる事になった。
暗殺者が、二人もいる。
正確には、ジェフとニナがいる。
恐らく前も参加していたニナが、初参加のジェフに色々と説明しているのだろう。
そんな多少隙を見せていたとしても、二人に対し殺しを仕掛けるなんて自殺行為だ。
此処は、三十六計逃げるに如かず。
即決して、きびすを返し走る。
その口元が笑んでいる自覚は、一応あった。
今回は以前と同じではなく、複数人生き残れる。
その複数に誰を選ぶかなんて、考えるまでもなく決まっていた。
「……マサと、ケー……。それ以外は皆殺し」
さぁ、生き残ろう。
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