底知れぬ悪意と
□裏切りの人…神兵・初日
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心配、ないよ
僕、こんなところで、何してるんだろう……
諦めに、他様々な負の感情。
どうしようもないほどの場違い感が、胸を強く締め付けてくる。
自分の手は殺す為にあるのではない。
それに以前、かの黒色の少女に言った通り、生き残る勇気も気概もない。
臆病だ、自分は。
どうしようもなく。
はぁっ、と息をはいて、其処で知らず自分が息を止めていた事に気がついた。
こんな事では駄目だ。
落ち着け、先ずはそれから。
身を起こして、一旦周囲を確認した。
木々に囲まれた小さな空間。
つまり開けており狙われやすいと、そういう方面では無知な自分でもよく分かる。
其処の中央にある、遺跡の石だろうか。
座るのに丁度良さそうだったので、それに座り込んでいたのだ。
其処まで確認して、まだ誰にも見つかっていない事に複雑な気分となった。
ならば、と手元のアコーディオンを見る。
誰に言われるまでもなく、悪手だと知っている。
それでも奏でずにはいられなかった。
皆の為の鎮魂歌を。
脆く美しく
儚く語りかけるこの世界
私達の悲鳴を
聞く人は存在しない
だけど私は 歌い続けるよ
歌は私に出来る唯一
歌は全てを癒す唯一
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