【RとP、そしてG】

□第12章
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魔王は言った。
「我は、悲しくなど、ない。感情など、持っていないからだ…。」
嘘だった。かすれた声。それに、目の中の深い青い色の海が、こぼれ落ちそうになっているんだもの。ここまで来ればもう、誰だってわかるよ。馬鹿だなあ…。
「アンタ、阿呆だよ。認めちゃいなよ。生きてんだから泣けばいいじゃねえの?」
ああ、何だかおれの方が泣きたくなるよ。しかし、魔王はまだ苦しそうに否定の言葉を続けた。
「いいや…。生きてなどいない…生きてるはずが無い…それでは、それではあまりに…可哀相だ…。」
「…なに?」
かわいそう。
確かに、今そう言ったよな。
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