【片隅にエレジィ】

□序章
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巨大な目玉マークが描かれた黒い城が燃えている。
城の主はもういない。殺されたのだ。それは別に珍しい事では無かった。世界征服を企んだ組織が、ヒーローに壊滅させられる。そしてそのアジトが、爆発炎上。ありふれたお話だ。
ジル=グレイムとラナ=グレイムは、組織の下っ端悪魔だった。その他大勢として登場し、誰にも顧みられる事なくひっそりと死んでいく。彼らが最後に何を思ったか。そんな事は誰も、考えもしないだろう。
燃えていく敵のアジトを背景に、ヒーローとヒロインがキスをしていたその時。城の中でも、その他大勢のジルとラナが最後のキスをしていた事など、誰が知るだろうか。
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