【片隅にエレジィ】

□第2話
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レヴ=グレイムは白昼の公園通りを、翼も使わず独りで歩いていた。風が吹くたびに、角が冷えていく。10月でこの寒さなら、今年の真冬は一体どんな事になってしまうのだろう、とレヴはぼんやり考える。
おれの身体が凍って割れてしまえば面白いな。
音をたててばらばらになる自分を想像して、レヴは少し笑った。同時に、どうでもいい事でしか笑えない者特有の白々しさが心に広がっていくのも感じていた。
「寒…」
レヴは、先刻のセドの姿を思った。萎れた翼が痛々しい兄の身体は、それでも、凍って割れたりはしないのだろう。やはり割れるのはおれなのだ。
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