【片隅にエレジィ】

□第3話
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「おっとりした良い子ですがもう少し自己主張をした方がいいでしょう」
ネロ=グレイムの、レオナール悪魔小学校での通信簿には、いつもそう書かれていた。それを見るたびネロは困った気持ちになる。自己主張という言葉の意味をネロはちゃんと知っていた。自分の考えを言うという事だ。
でも、じゃあ自分の考えを言いたくないという考えを持ってるぼくは、どうすればいいんだろ?
ネロの見ている世界は、ネロだけの世界だった。その小さな美しい、秘密の世界をネロは誰にも渡したくはなかったのだ。
でもネロはたまに思う。
兄たちには、ちょっとだけ見せてあげてもいいな、と。
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