【片隅にエレジィ】

□第5話
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「可愛いざかりだねえ」
「うんうん」
そう言って同僚の下級悪魔達がネロの小さな角と角の間の、つるつるのおでこを撫でる度に、セドは何だか自分が褒められているような、誇らしくてくすぐったい気持ちになるのだった。
やっぱりボスが休暇の時に連れて来て正解だったな、とセドは思った。ファングル伯爵が、アジトに顔を出さない日は稀である。しかしそんな日のアジトは普段と打って変わって、とても気楽な、感じのよい職場なのだ。
見学させるなら今日しかない、とセドは考えた。幼いネロに、未来のストレス地獄を見せるのはあまりに残酷。そう判断しての事だった。
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