【片隅にエレジィ】

□第13話
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消毒薬の匂いが際立つ、夜の病院。セドは赤い眼球を闇に光らせ、レヴの話を聴いていた。相部屋の糖尿病の老人は、廊下を通る看護婦の足音に微かに身じろぎして高い鼾をかいている。
「…そうか、津賀さんが…迷惑をかけてしまったな…」
レヴのあまり上手いとは言えない説明で、何とか事の次第を一通り把握したセドは、そう言って少し胃をさすった後、レヴに抱えられて震えているネロの頭をゆるく撫でた。
「可哀相に…ネロ、大丈夫だ。お前がそんなに心配する事は無い。そら、ロビーでココアでも買っておいで」
ポケットから硬貨を出した。ネロはコクリと頷いて、でも言葉は出せないままだった。
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