【ワイルドヘヴン】
□Number-00
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彼は、目を閉じながら味わった。
それは、故郷の味だった。
遥か遠く、
懐かしき、
星の、
金色の、
風の、
胞子の…
ああ、こんなに遠いところにいても、この肉は故郷の味がする。
彼は、あまりの美味さに、落涙した。骨にこびりついた、細かな肉まで。全てを、舐め取って、かみ砕きながら、愛おしむように飲み込んだ。
か細い骨と、肉が纏っていた布を埋めてしまう前に、彼はもう一度その肉の匂いを堪能する。
さいこうだ。
さいこうに、うまかった。
この星独特の、奇妙な灰色の空気の中でも、肉の匂いは輝いていた。