【ワイルドヘヴン】

□Number-07
1ページ/18ページ

進むべき方角に向かって風が吹いている、という事が、ゼッカイにはひどく不安だった。
「…風が」
チュニを振り返ると、あれほど言ったのにゼッカイの尻尾を離して、川に入りかけている。
「何をしているっ!馬鹿なのかお前は!」
慌てて首根っこをくわえて頭の上に乗っけると、チュニは悪びれもせず
「おひさまあついの。チュニはお水さん、はいったんのよ?ばかではないの」
と言って一部濡れた毛をブルブルッと震わせた。
「離すな、尻尾を!いいかげんにしないと…」
食う、と言いかけてゼッカイは口をつぐんだ。
「しないとなにー?」
「…怒る…」
頭の上のチュニはうまそうな匂いがした。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ