【ワイルドヘヴン】
□Number-09
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日も落ちた時分、パチンコ屋の2階の小さなファミリーレストランで、尾沢と日吉修太郎は落ち合った。喫煙人口の随分減った今でも、このような場所では壁がヤニで黄色くなっていたりする。客も給仕もそれぞれの悩みで忙しく、他人の話など盗み聞く余裕がないほど生気の無い様子である。吹き溜まり、といった感じのファミリーレストランだった。狭いドリンクバーから尾沢が注いできたカルピスを一口飲んだ日吉が口を開いた。
「…じゃあ、もう知ってるんだね」
尾沢から電話を受け、カンヅメの仕事を終えたらこのファミレスで待つと申し出たのは日吉の方だった。
「はい…」
答えて尾沢は下を向いた。