【ワイルドヘヴン】

□Number-10
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ギャラクシーファーム・私設研究所の一室に作られた、特別休息室のソファに身を沈めて、社長の水上秋月は黙り込んでいた。手元の光通信機のモニターには、部下の久留米が立ち尽くす姿が映っている。
「本当に申し訳ありません、社長…」
水上はそれには答えず、銀色のトレイに乗せられて無造作に床に置いてある、生き物の死骸に目をやった。地下研究所で飼育していた、メスのミミナ草食マウスの亡きがらである。
「あのさ…久留米。失敗したらそれを、別の方法で巻き返す。それが人間というものだよね」
「申し訳ありません」
更に深く頭を下げるばかりの久留米に、水上は小さく舌打ちした。
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