【ワイルドヘヴン】

□Number-16
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梅津真佐美は、佐古田と尾沢の車が去ってゆくのを、反古紙の貼られた窓からぼんやりと眺めていた。車椅子の膝の上に乗ったミミックネコダコが、キュウッと鳴く。真佐美は手元のリモコンの液晶に目をやった。
行かせてよかったのか?エム。あいつらからは針の匂いがした。放っておけばゼッカイ達を捕まえに行くんじゃないか?
「大丈夫よ…ミツは故郷に帰ろうとする生き物を撃ったりしないわ」
真佐美の言葉に連動して、背後のM-01が煙と音をたてる。ミミックはその機械の通訳を聞いてクニャリと触手の先を丸め、鳴き声は出さずに匂いだけで喋った。
知り合いなのか?
ええ、と真佐美は頷いた。
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