ガロッツのブルース

□case-01
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他の選択肢がないのなら、それをベストと言うしかない。

:チャブラ

超巨大都市惑星マヒナでの彗星直撃事件以来、主要大会社の株価が軒並み暴落し、宇宙経済は古今例のない不景気に見舞われている。チャブラ=エンラエが父から受け継いだ農場を手放さなくてはならなくなったのも、そのせいである。
良質の食用犬をたくさん飼っていた、あの豊かな小惑星を思い出す度にチャブラは暗いため息をついた。
「新たな一歩を踏み出そうって時に暗い顔をするとな、チャブラ」
シップを操縦するワージが、余った触手でチャブラの頭をポンと叩いて思念を飛ばしてきた。
「運が逃げるんだよ。ほら、もう着くぜ。捕獲の準備をしな」
「こんな星、ろくな犬がいるわけないんだ」
微弱なテレパスで力無く呟きながらチャブラは捕獲装置の制御盤を膝に乗せた。
「俺たちに買える狩猟権なんかこういう所ぐらいしかねえじゃねーか。文句言うなよ」
「なあワージ…せめてレベル5はある惑星の犬じゃないと、誰も買わないんじゃないか?」
「不景気だから逆に安い犬が売れる。俺はそう読んだね」
「お前の読みって当たった事あんの?」
「あるある、マジマジ」
再び吐き出されたチャブラの大きなため息と共に、中古のおんぼろシップは地球星に到着した。
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