ガロッツのブルース

□case-02
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ロマンの何が悪い?

:ジェットン

惑星ラーテアは、数ある都市惑星の中でも、経済的にいわゆる"負け組"の部類に入る。中でも赤道直下のイア85地区は吹き溜まりなどと言われ、そこに住む人々の大多数が日雇い労働者か、無職。その他、不法滞在者、難民、バー中(バーチャル中毒)、宇宙海賊、ギャング、殺し屋、悪徳警官なんて奴らがごった返す、治安最悪のアングラ地帯となり果てている。
そういう場所であるから、当然、ギャンブルの類は盛んだ。とりわけ、ガロッツ同士を闘わせて勝敗に金を賭けるガロッツ・ファイト。これが人気を博している。
で、飼い犬を、ガロッツ・ファイトに出場させて日銭を稼ぐ奴らを闘犬ブリーダーと言うのだが。何を隠そう、俺、ジェットン=ジ=エットもその闘犬ブリーダーの一人なのである。
闘犬ブリーダーは通常、闘犬用の犬を何匹も所有している場合が多いが、俺が飼っているのは、キュウだけ。それも、闘犬用の犬種ではない。道端で拾った雑種犬だった。
何に利用するにしても、ガロッツは血統がものを言う。雑種なんか闘犬にしたって金にならない、と、親切でくだらない奴らから幾度となく忠告を受けたが。俺はキュウ以外のガロッツを相棒にするつもりはない。
こいつには絶対、闘犬の才能がある。これは俺だけが知っている事実だ。
誰も信じないし、実際、勝率は30%以下で、つまり10戦やったら7戦負ける、中の下ぐらいの成績だし、だから俺とキュウは明日食う飯にも困っていたりするわけだが、それでも。
いつか絶対、俺たちを馬鹿にした奴らは、後悔することになる。
…はずだ。
たぶん、きっと。
頼むから、キュウ、お前の力を見せてくれよ。
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