飛ぶ探偵

□flight-01
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勉強が、したい。
出所した南武清治(なんぶきよはる)は切にそう願っていた。自分の馬鹿さを心底呪っていた。
清治は小学校から非行少年のレッテルを貼られ、中学で当前のように不良グループの仲間になった。高校は落ちた。左官屋に就職したがすぐクビになった。暴力恐喝窃盗詐欺、そういう世界で、そういう事をして生き、架空請求の手伝いをしていた時に逮捕され、21歳から3年間、刑務所で暮らした。
その3年の間に、唯一信頼していた祖母が癌で死んだ。
昔、国語教師をしていた祖母は清治によく言っていた。
「清治、お前は頭がいい。本をお読み、たーくさん、ね」
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