飛ぶ探偵

□flight-05
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悲惨な里帰りからおよそ2週間、七見はずっとふさぎ込んでいた。猫を捜す仕事が2件と、カメレオンを捜す仕事が1件入ったが、七見は依頼人と顔を合わせようとすらせず、全ての応対はさよりと清治がこなす羽目になった。何とかなだめすかしてカメレオンだけは七見に"飛んで"捜させたが、結局猫は2匹とも清治が張り紙と聞き込みで情報を募って見つけ出した。最初は気の毒に思っていた清治も遂に我慢の限界に達し、今まさに文句を言おうと口を開きかけたその時、
唐突にそれはやって来た。
「あの…た、探偵事務所は、こちら、でしょうか…」
扉から顔を覗かせたのは若い女だった。
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