知らない。

□ふしぎないれずみ
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「やっぱり兄貴の入れ墨はすげえやーっ」
ヤスは大好きな兄貴分の入れ墨を見ていた。桜の木と雷神の絵柄である。ずっと見てると吸い込まれそう。そしたら本当に大好きな入れ墨の中に吸いこまれてしまったのだ!
「うわーっ」
平面なのに立体的な桜の木の上に落ちたヤス。木の下から雷神が怒った。
「てっめえぇワシントンだなーっ!俺の大事な桜の木を手折りに来た野生のワシントンだなーっ」
雷神はすごく怖い。顔が特に怖い。だがデカくて桜の木には登れないからずっと下から怒鳴っていたら疲れて寝た。あどけないポーズで。ヤスはおそるおそる桜の木から降りて逃げ出した。入れ墨の絵の世界なんてどうせ狭いと思っていたけど、走ったらどこまでも行けたので超きもちいい。肌色の大平原を抜けて肌色の丘の上に登ったらちょっとエロい気分。そのうちなんかカスミがかかってきたのでおかしいなぁと思ったら、般若が出てきた。ヤスは
「ヒャアアアァ」
と言った。般若は組長の入れ墨に描いてあった般若だったので、入れ墨世界はつながってんのね、とヤスは納得したの。
「カモーン」
般若は誘ってきた。般若はよく見ると美人。ヤスは般若とめくるめくピンク色のランデブー。
「いいところに行きましょう」
と般若が言うのでついて行ったらなんと若頭の風神の入れ墨に描いてある大きな雲の上。
「でも風神は?」
「へいきよ。今うんこしてるから」
般若はさすが組長の背中に描かれているだけあって、セクシーすぎて気持ち悪いくらいセクシーで抗えないセクシー。
それから約30分くらいの間、若頭の背中の入れ墨は風神の代わりにハートと組長の般若とヤスでできた春画になってしまったから、人に見せなくて本当に良かったと思います。ある意味パンクだった。

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