知らない。

□イノセント
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これほどまでに頼んでも、地獄には入れてもらえないのですか。なら僕はどうすればいいんですか?
傍観していただけだから
罪には問われぬ、と貴方言うけれど、僕が天国暮らしってどう考えてもおかしくありませんか。
だって遅れてきたアンゴルモア大王がこの世界を滅ぼすのを、すぐ隣で僕は笑って見ていました。どうせ死ぬんだから筋肉モリモリ、メメントモリモリ、とか言ってただ見てました。遅れてきたアンゴルモア大王と一緒にゲーセン行って、こんなの出来るわけねーじゃんと言いながら初めてやる音ゲーの一番難しいコースをやって10秒でゲームオーバーになり、ほらやっぱね、と、乾いた笑顔で言ったりもしたのですよ。
それなのに遅れてきたアンゴルモア大王だけ地獄行きで僕は天国行きなんて、そんな馬鹿なことがありますか。
それに僕は、イノセントな歌詞のロックンロールを歌いました。これは明らかに罪です。何故ならば道化系ニヒリストかつペシミストの人は、イノセントなロックンロールを歌ってはならないからです。どうです?これで僕を地獄に入れる気になりましたか?
何ですって?たとえふざけ半分だったとしてもイノセントなロックンロールを歌う事自体が、僕の最後のイノセント成分であり、それは天国に行くべき資格として充分なものであると、あなたはそう仰るのですか。何というおめでたい人だあなたは!あっ、これって中傷ですよ、誹謗中傷。
良いでしょう…そこまで言うのならばとっておきの罪を告白しようじゃありませんか。
昔々、あるところにお爺さんとお婆さんと僕がいました……ちょ、待って待って、違いますよちゃんと最後まで聞いてくださいよ!ふざけてません!せっかちな人だなもう。続けますよ。昔々あるところにお爺さんとお婆さんと僕がいました。お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯に行きました、僕は家でベンチプレス100回と、オオカナダモの面白い生態を顕微鏡で観察しました。
はいっ!
どうです?何という悪党だ、言葉も出ない、といった表情ですねぇ?ククク…でもそれだけじゃあないんですよ…僕はね、お婆さんが持ち帰ってきた桃を、食べたんですよ。それもかなりいっぱいこぼした!食べながら喋ったからです。
ほうら、ほうらどうだ、これはもう完っ全に地獄行きでしょ……
え、駄目?それどころか自分の肉体を鍛練してしかもオオカナダモの研究のような文化的に意義あることをした功績によって確実に天国行きですって…そんな、そんな馬鹿な!そんな馬鹿な!
もう時間なんですか…ああそんな…あんまりだ、
せめて最後に、遅れてきたアンゴルモア大王に面会できませんか、じゃなきゃ僕は……
え、それもダメ?ああ…
ねえ、じゃあ最後の最後に質問だけ。
天国爆破したら地獄に行けますか?
へえ、だれもが優しい気持ちになる天国ではそんな事はできなくなる…ああそういうシステムなんですか。ふん、なるほど。
いいですよ。じゃあ賭けようじゃないですか。僕がそれでも天国を爆破できたとしたら、その時はあなた、僕を絶対に地獄に送ると約束してくれます?
……………え、しないの!?ちょっと待ってよそこはしようよ約束!何でだよ!ちょっと待っ…離せ!やだ!待ってくれ、待って、くださいああああああアアアアアアアアア………………………………………あははうふふ待ってくださいってばぁ、うふふ、あっお花が飛んでいる、素敵だ。

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