短編/連作

□140字物語
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2011/6/16
ゾンビ小話×4


「僕は今ほんとにハッピーなんだ。恨んでなんかもちろんない。見てよほら、僕とても求められてる、僕の存在で誰かが生きてる、僕がいなきゃ生まれない命まで。君には感謝してるんだ」確かに殺して山に埋めた筈のあいつは、体中を虫に食われながら俺の方へと近づいてきた。 #twnovel

両の腕を切り落とされたゾンビがまるで頭を落としてくださいと言わんばかりに、斧を持った人の前に首を差し出している。僕はそれを見ながらマスターベーション。神様はきっといる。スパンと転がった首と視線が合う。ゾンビの濡れた瞳の中で、お話の通じない美しい神様が笑っていた。 #twnovel

もうだめだ噛みつかれた、俺はゾンビになってしまう、と言って、わたしを散々殴った手で彼は縋りついてきて涙を流していました。しにたくないよ、と、胎児の姿勢で呻くその声はとてもセクシーで、わたしは生まれてはじめて彼を愛しいと感じる。あのゾンビはきっと神様だったのだ。 #twnovel

「ゾンビだらけのこの世界できみが生きてゆけるために僕に何ができるのか、大事なのはそこなんだ。躊躇っちゃだめだ、僕をゾンビを倒す最初の練習台にしてくれたら嬉しい」と書いた遺書はどっかいっちゃったのでそのゾンビがなぜ口を縫い閉じてあるのか誰も理由がわからなかった。 #twnovel
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