【片隅にエレジィ】

□第1話
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何百という黒い翼の生えた下級悪魔の群れ。うねりに流されながらセドは仲間の1人に尋ねた。
「何処へ向かうって?」
「敵の恋人が住んでいる町を襲うんだって。セドお前、ファングル様の話を聞いて無かったのか?」
「…なんか胃が変で。」
「大丈夫か?何だか角の色も悪いし、休暇とって病院行けば?」
「いやいい、いい」
そうは言ったものの、セドは今日帰ったら病院に行こうと考えていた。ちょっと本気で痛い。ガンだったらどうしよう。
いやいやいや。
一瞬、白いベッドの上の自分を想像してセドは頭を振った。悲観的な妄想に対する自己嫌悪が、セドの胃をさらに圧迫した。
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