【片隅にエレジィ】

□第5話
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天井の高い大ホールに入るなり、ネロが
「わあ、ひろいね」
と、声を上げた。
「ここで皆が集まってボスの話を聞いたりするんだ」
解説するセドの足元にネロは屈んで
「これ、なに」
床に配してある青白い炎の照明を指差した。簡単な魔力を応用したこの鬼火の照明は、ほとんどの部屋に設置されていて、その消灯や交換は全てセドたち下っ端の雑務である。
「大にいちゃんがつけてるの?」
「ああ、毎日…いや、うん、たまにね」
セドは言葉を濁した。当番じゃない日まで鬼火をチェックするわびしい癖がついてしまった事など、ネロには言うまい。セドは格好悪い兄と思われたくはなかった。
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