【片隅にエレジィ】

□第6話
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小春日和。
「東友デパート」屋上で、覆面ライザーショーの垂れ幕が、むなしく秋の日差しを浴びてはためく。ろくに観客も居ない陳腐なステージ。そこで演じるくだらない寸劇をようやく終えた津賀ケンタロウが、一息つこうと自販機に向かったところ、東友の関係者が慌てて追いかけてきた。
「ちょっとちょっと、困りますよ。まだ握手会があるんですから」
「え〜、どうせ客いないじゃないすか」
「お願いしますよ」
このようなショーには衣装だけ真似た代役をたてるのが普通なのだが、32代目ライザーにそんな予算は無い。悪党退治の片手間にちょくちょく入るこの仕事が、津賀は嫌だった。
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