【ワイルドヘヴン】

□Number-02
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ゼッカイはゴクリと喉を鳴らす。地球の、蔓延する灰色の匂いばかりを嗅いで、鼻がおかしくなりそうだったゼッカイにとって、故郷の金色の匂いは、たとえ微かでも、或いはゼッカイ自身の願望が生んだ幻臭だとしても、優しい恵みの匂いには違いなかった。
何処だ?肉はどこにある?
ゼッカイは本能的に匂いの方向に駆け出した。四肢の感覚は無くなりかけていたが必死に走った。金色の匂いが自動的にゼッカイを導く。倒れそうになっても糸で引っ張られるように、ゼッカイは進んだ。
強烈な空腹感。
この肉にありつけなければ俺は死ぬだろう。
青いカミツキはそんな予感を抱いた。
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