【ワイルドヘヴン】

□Number-03
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『おそと出ていいの!?やった!』
チュニは喜んではしゃいだ。排水溝に駆け寄るや否や、蓋を外して中に飛び込み、赤い頭巾の頭だけを出してゆらゆらさせた。
『おかーさんもはやくう』
『お母さんは行けないの。そこを通れるのはチュニだけなの』
母親は淋しげに笑った。排水溝は確かに、幼体で70センチ程しか背の無いチュニでぎりぎりの幅しか無かった。
『おかーさんこないの?』
チュニはパチクリと瞬いた。
『でもチュニ、おばあちゃん見たことないよ。お家もどこかしらない』
『大丈夫。匂いを辿ればわかるから』
『チュニひとりやだなー』
『大丈夫よ…』
母は頷いた。
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