【ワイルドヘヴン】

□Number-04
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「じゃあ尾沢君、これに着替えて佐古田さんとこの保定やってくれる」
「あっ、はい」
広報課の井上という若い男に白衣を渡された尾沢は、公園に建てられた数個の仮設テントのうち、一番端のテントをくぐった。瞬間、吹き出しそうになる。
「ぬ…文句あんのかコラ」
佐古田が、いつもの作業衣の上に白衣を引っ掛けて座っていた。驚くほど似合わない。眼鏡をかけているにも関わらず、全く宇宙生物医に見えなかった。尾沢は真面目な顔で
「いえ。何にも」
と答えたのだが、佐古田は問答無用で
「かっ、ムカつくなテメーは」
と蹴りを入れてから、外の利用者に怒鳴った。
「入れっ!」
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