【ワイルドヘヴン】

□Number-06
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突然ドアが開いて、佐古田が顔を出した。
「誰だチクショー!」
「わあっ!」
尾沢は驚いて1メートルは飛び退く。
「ぬ…お前か。何しに来た」
謹慎中であるにも関わらず佐古田はワイシャツに黒い上着を引っ掛け、思いきり外出の準備をしていた。髪だけが、いつものオールバックにする前で、尾沢はつい、佐古田の下ろした前髪の辺りに視線をさ迷わせつつ、
「あの…お見舞いに。もう大丈夫なんですか」
と、羊羹を差し出した。
「当たり前だ馬鹿。不死身なんだよ俺は」
佐古田は面白くもなさそうにそう言い、羊羹をまじまじと見つめると
「…仕方ねえ、入れ」
足でドアを押し広げた。
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