【ワイルドヘヴン】

□Number-06
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佐古田の家は、飾り気の無い椅子や机、テレビなどがポツン、ポツンと落ちているだけの殺風景な部屋だった。狭い台所に割れたコップが散っていて、尾沢はさっきの物音を思い出した。見た限り、この家には他に人間も動物もいない。気のせいだったのか?いや、そんな…と考えていると茶筒が頭にぶつかってきた。
「茶は自分で入れろ!」
そう言い捨てて佐古田は洗面所に向かった。尾沢は後頭部をさすりながら急須を探して棚を漁った。食器の数は数える程しか無い。客などほとんど来ないのだろうな、と尾沢は想像した。その割には無駄にお茶を葉で買っているようだが。
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