【ワイルドヘヴン】

□Number-07
2ページ/18ページ

赤茶けた奇妙な大木が、川を跨ぐように倒れているのが見えて、ゼッカイは身を硬くした。
「チュニ、あれは何だ?」
「はしっ」
チュニは答える。
「はしとは何だ?」
「うえ、乗んのね。そいで歩くの」
よく知っている。チュニは、憎たらしいぐらいに、この土地、地球の事をよく知っている。と、ゼッカイは思う。何が憎たらしいのか、ゼッカイ自身にもうまく説明がつかないが、チュニがそうした知識を披露する度に、ゼッカイはいらつくような悲しいような気分になる。けれど地球人のように感情を整理する習慣の無い、ミミナ星の生き物であるゼッカイには、その不快感を今は押し止めておくしか術が無かった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ