【ワイルドヘヴン】

□Number-09
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「ヒヨシさんは…わかってて佐古田さんにカンヅメの生き物を渡したんですか?」
尾沢は、ゆっくりと頷いた日吉の顔をはっきり見れないままに乳飲料のストローを吸い
「何で…?」
と、消え入りそうな声を出した。初老の日吉は深く刻まれた皺に覆われた手でカルピスに突き刺さったストローを弄び、そして尾沢の質問に質問で返した。
「なんで尾沢くんは、俺にかけてきたの」
尾沢は言葉に詰まる。佐古田が日吉から譲り受けたガイライを、極秘に金で始末していると知ったなら、まず電話をすべき相手は日吉ではなく井上だった。
そうしなかったのは。
「…信じたかったからです」
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