飛ぶ探偵

□flight-01
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塀の中で祖母の死を知った清治は、ただただ、泣いた。家族で味方だったのは祖母だけだった。ずっと見放さず期待し続けていてくれたのに、それを裏切り続けた自分が、許せなかった。
勉強がしたい、
祖母の見ていたような知識の世界を知りたい。
清治は生まれて初めて真剣にそう思ったのだった。
だが、物事はそんなに簡単にはいかない。夜間高校にしても、通信制の大学にしても、金が要る。前科持ちの人間を雇ってくれる会社は少ない。加えて、清治には別のハンデもあった。
額から顔に走る大きな傷痕。
喧嘩でついたその傷痕が就職の大きな妨げになっていたのである。
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