短編/連作

□140字物語
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2011/06/25
お題:どこか遠くに二人で逃げたい/嘘つき、とそのくちびるが言った/今ここで抱きしめたい


「どこか遠くに二人で逃げよう、ゾンビのいない所に」という彼について無人島に来た。「ここで二人で暮らすのね」私はわざと彼の唇に顔を近づける。「嘘つき」と、その唇が告げる。「知ってたくせに」「そうだね知ってた」今ここで私を抱きしめたい衝動と食欲との板挟みになっている彼がいとしかった。


お題:キス題。シチュ:教室、表情:「気恥ずかしそうに」、ポイント:「拘束具」、「自分からしようと思ったら奪われた」

教卓の後ろに彼女は本能で隠れていた。だが彼女は放課後の教室で告白する相手を待っている訳ではない。入って来た男に彼女は飛びかかる。男は彼女に網を投げ、もがく彼女の口に拘束具をはめた。「ゾンビになっても奇麗ですね」男は気恥ずかしそうに言い、彼女の唇を奪う。彼女はうなり声をあげている。

2011/6/26
お題:好きな人は君だよ/今ここで抱きしめたい/あまい蜜のような


あまい蜜のようなあの香りがして彼女は顔を上げた。かれがいる。彼女はまっすぐ廃屋へ。中には男が一人。「ま、またこのゾンビ…こいつなんで俺ばっか狙うの」彼女は今ここで彼を抱きしめてやりたくなる。すきなのはきみなの。きみのにくがいいの。「もがあ」という唸り声で彼女はその気持ちを伝えた。

お題:いつまでも交わらない、ねじれの関係のように/怖くない、と言ったら嘘になるけど/手遅れになる前に

※さっきのと連作です

怖くないと言ったら嘘になる。だがどうしてこいつは俺ばかり狙うのか。こう毎度襲われては俺は困る、困るのだ。こいつはゾンビで俺は人。俺たちは交わらないねじれの関係にある。手遅れの感情を抱く前に撃たなければならないのはわかってるけれど。「…またきたの?きみ」ああゾンビをきみ、だなんて。

※更に続編↓
コンテナに隠れて標的に接近するハンターの前に男が一人、現れた。「あれは撃たないで下さい」「生前の恋人かね?そういう感情は命取りになるぞ。どきたまえ」「べ、別にそういうのじゃ…ただあれが俺ばかり狙うから俺、」「何で照れてるんだ君」「いいから帰って下さい。あれを撃つのは俺が許さない」
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