短編/連作

□しびとつかい
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2008年10月18日(土)
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しびとつかい

「マリオネットみたいなモノだよ」
死んだカマキリがヒョイ、とカマを動かした。アタシは息をのむ。乃木が死体を操れるというのは本当だったんだ。
「じゃあ、ヒトの死体を操ったりも…?」
「同じ能力者にはそういう事する奴もいるみたいだけど、」
乃木はあまり光の無い目でだるそうに笑って、答えた。
「他人の死体を操るなんてデリカシーに欠けた事、僕はしてないよ」
その時アタシは、なぜか乃木の言葉がひっかかった。
「…乃木、今"他人の"って言った?」
じゃあ"自分の"は?
乃木はアタシを撫でながら淋しげに囁いた。
「伊勢さん、だめだよ、」
死体のように冷たい、乃木の、手。
「気づいちゃ、だめ」
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