短編/連作

□しびとつかい
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2008年10月20日〜
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しびとのナイフ
1

帰り道、コンビニの前で乃木に会った。送ろうか、と言うので甘えることにした。
「だって怖いじゃん、例の」
「ああ、通り魔」
相づちを打つ乃木を見て、アタシは、思い出す。捕まらない通り魔事件に関する妙な噂。
有り得ない目撃証言
死体に襲われた…
「僕じゃないよ」
先に乃木が口に出して苦笑した。
「違う。そうじゃなくて、」
「同じ能力、かもね」
アタシの考えを見透かした乃木の声は穏やかだった。けれどアタシは怖かった。そいつと乃木が"出会う"ことが何だか怖くて、アタシは尋ねた。
「通り魔出たらどうする?」
「どうするも何も。普通は逃げるよ」
"普通は"と乃木は言った。
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