*clap

□梅雨もわるくない
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仕事が終わって
会社を出ると、
外は大粒の雨。



…傘、持ってこなかったのにな。



梅雨は、
ジメジメしていて嫌い。


ちょっとしたことで、
気分まで落ち込んでしまう。


「はー…」


外を見上げて、会社の前で
ため息をつく。


近くのコンビニまで走るか。


覚悟を決めて、走ろうとした時



ピッピッ



クラクションの音が2回。



その車の窓があいて



「よっ」



右手をあげる和。



嬉しさを隠して、
私は素っ気ない返事。



「…どうしたの?」



「ひどいなー、せっかく
彼女が困ってるかと思って
迎えにきたのに。」



「別に困ってなかったし。
タクシー呼ぼうと思ってたし?」



可愛くないことを話しながら
私は和の車に乗り込む。



「じゃあ乗るなよ(笑」



「やだよ、タクシー代浮いたし、
ラッキー♪」



「その浮いたタクシー代で、
ご飯でも食べに行こっか」



「和のおごりならいーよ」



「お前なっ…」



ふぅ、とため息をついて
和は続けた。




「…んじゃ、
お礼はこれでいーや」



チュ、



和の唇が、私の唇と重なった。




「…ば、ばか!!」



「どこご飯行こうかな〜」



和は車を走らせた。



……これだったら、
梅雨も悪くない……かな?

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