*short×short

□おわかれ
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大好きだったよ。




幸せなこの時間が
止まればいいのに、
本気でそう思った。




「和っ」




俺の名前を呼んで、
笑いかけてくれる君の顔が
大好きだった。





「和、手つなごっ?」





外に出る時はいつも、
手を繋ぎたがって、
俺が手を差し出したら
子どもみたいにはしゃいでた。
君の小さな手が、大好きだった。





キスをしたら、
少しだけ赤くなって、





「もう一回」




って頼む姿が、大好きだった。





いつも、いつも俺の前では
笑顔で、悲しいことは決して
俺に見せない。
強がっているけどほんとは
すごく怖がりな君を、
守りたいと思った。





それなのに、君は俺の前から
いなくなった。





あの日、会いたいって
君からのメールが入ってた。





俺は仕事で、返事をすることが
ないまま、





君とは二度と会えなくなった。





あの時俺が、
仕事が終わったらそっち行くって
一言。
一言だけでも連絡していれば、
君は今でも、俺の隣で
笑ってくれてたのかもしれない。





後悔だけが残る。




大切だったよ。




恥ずかしいからって、
嫌がる俺の右手の薬指につけた
君からの束縛も。





お揃いが好きだった君が、
勝手につけた携帯のストラップも。





本を見ながら必死で
作ってくれた君の手料理も。





全部、大切で、大好きだった。





君は、俺の隣にいて、
幸せだったのかな?




俺は、ちゃんと笑えてたかな?





好き、って伝わってたかな?




大好きだった。




いや、





今でも、大好きだよ。
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