Short 1
□Valentine Kiss
1ページ/2ページ
樹(イツキ)×希(ノゾム)
放課後の教室に響くのは俺の唇から漏れる吐息と、樹と俺の口内を行ったり来たりする固形のチョコが歯に当たる音。
『いつ、き…もう、チョコいらないよ…///』
いくつものチョコが俺と樹の口内で溶けて口の中が甘ったるい。
「俺は希からのチョコが欲しいの」
少し明るめに染めた樹の髪に指先を絡ませる。
樹がもう一つチョコを口に含もうとしたところを樹の頭を引き寄せ俺から唇を重ねた。
拙いながらも一生懸命に樹の舌と絡める。
酸素が欲しくなって唇を離せば息が乱れているのは俺だけで、樹は何もなかったかのように俺を見つめている。
「今日は希からしてくれんの?」
どこか嬉しそうな樹の笑顔を見て、お腹の下の方に熱が溜まる。
そんな不思議な感覚にどうしたらいいか分からなくて涙が出てくる。
「希、泣かないの」
そう言ってぎゅーっと抱きしめてくれる樹。
『樹、樹、もっとぎゅーってして』
幸せな気持ちでいっぱいになる
チョコよりも甘い甘い樹の温もりに教室だということも忘れて、ふたり熱に溺れてゆく…。
END
→あとがき